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雨の日に本を読むと

父は職人でした。
子供の頃、父の家は貧しかったので、学校になかなか行けなかったそうです。
家出をして上京し、職人として働いて働いて、
戦争が終わってから郷里に戻って、子供が4人生まれ、
働いて働いて、子供らを学校に入れてくれました。

そんな父は、
末っ子のわたしが小説を読みふけるのが、気に入りませんでした。
「人のつくった話を読んでなにがおもしろいのだ!」と、
よく怒られたものです。
あの頃はずいぶん反発しましたが、
年をとって、父の思いが少しわかる気がしています。

父にとって生きること、人生とは、汗水ながし我が身を酷使して働き、家族を守り暮らしをたてていくこと。
厳しい現実を見て、その中で生き抜くこと。
作り物のお話を読むことなど、人生の浪費でしかない…そう思ったのだろうなあ…。

子供の頃から本好きで、ずいぶん読書に時間を充てています。
わたしにとって読書は楽しみ、娯楽、の域を出なかったかもしれません。
父のように、我が身を酷使して生きてはこなかったか、と。
苦く胸の中を上がってくるものがあります。

そんなになだらかな来し方ではなかったにしろ、
いつも本に心の逃げ場をもとめていた気がして。
こんな甘い生き方でよかったのだろうかと。
雨の日の読書は、
うしろめたく、ため息をつきながら…。

プロフィール

柚木りん

Author:柚木りん
北国の林の中で、数十年暮らしてきました。
髪も白くなった今、これから向かう道すじを模索しているところ。
エッセイと写真で暮らしを綴ります。

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